転勤・異動・定年の実態とそのインプリケーション-RIETI「平成29年度 転勤・異動・定年に関するインターネット調査」報告

執筆者 鶴 光太郎 (ファカルティフェロー)/久米 功一 (東洋大学)/安井 健悟 (青山学院大学)/佐野 晋平 (千葉大学)
発行日/NO. 2018年4月  18-P-006
研究プロジェクト 労働市場制度改革
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概要

日本経済の中長期的な成長に向けて、女性や高齢者等の活躍が期待されている。その一方で、転勤や定年など、彼らの活躍の妨げとなりうる雇用制度も存在する。今後の雇用制度のあり方を議論する上で、転勤や定年の実態把握とその評価が欠かせない。そこで、経済産業研究所(RIETI)では、現役世代の正社員や退職経験者に対して、転勤・異動、定年退職や継続雇用に関する実態などを質問する総合的なウェブアンケートを実施した。

本稿では、その結果の概要をまとめた。それによると、転勤経験者は、転勤非経験者と比べて、業務経験の幅が広い、基礎力が高い、年収が高い、適職感が高いなど、転勤のメリットがみられた。定年については、継続雇用制度利用者の同制度に対する評価に着目すると、その評価は必ずしも高くなく、賃金低下への許容度も低かった。また、雇用の安定を重視するものの、65歳以降の就業意欲が高くないこともわかった。