時代は巡る | 物流応援団長山田泰壮の元氣が出る話

物流応援団長山田泰壮の元氣が出る話

物流応援団長山田泰壮が経営者・リーダーにお届けする元氣が出るブログ

親愛なる皆様
おはようございます。

ヤマト運輸と佐川急便が運賃値上げを行なったことにより据え置きをしている

郵政の物量が前年比120%、ただでさえドライバー不足の中、過労働や誤配などの

トラブルも発生しているようです。

我々物流業界では、今が運賃値上げのチャンスの時期、この時期を逃してはならぬと

躍起になっている同業社は多く、そして現実的に出した要請は殆ど受理されている

という状況であります。

しかし、先のヤマト、佐川、郵政の一件を見ると、やはりどうせ同じサービスを

頼むのなら安い方がいいに決まっているという顧客の心理は明らかだ。

そんな状況の中、私が社会人デビューしてから独立するまでの間、

16年間勤めていたM運輸での出来事をこのところよく思い出す。

(私のコラムではよく登場する「ばかやろう」が口癖のK社長の会社のこと)

大手食品問屋M社には30台ほどのトラックが定期契約をしている中、

私が務めていたM運輸の車両もその内10台ほど契約をしており、

残りの20台の内10台はT運輸、5台はA陸運、5台はS運送と運送会社全4社が

エリア毎の契約をし、すみ分けをしていた。世はバブル。
現場は商品で溢れ返り、積み込みをままならない状況、ドライバーも長時間労働となり、

不平不満が続出し、荷扱いは雑になり、仕事の質は落ち、退職する者も増え・・・という
混乱、荒廃した状態に陥っていた。

そんな中、契約各社からM社に対しての値上げ要請は必然的に起こるが、

値上げをしたところで、現場の混乱は収まらず、次に各社から撤退要請が相次いだ。

T運輸、A陸運、S運送の契約トラック台数がどんどん減車されていく中、

私のコラムでもこれまでによく登場している「ばかやろう」が口癖の当時のK社長の

持論はこうだった。

M社さんも困っとるんや!そんな中、値上げだの減車だの撤退だのと、

長年仕事を頂いて一蓮托生でやってきたじゃないか!
ばかやろう!その恩を忘れて、ちょっとしんどなったら値上げ、減車、撤退と

水臭いこと言うんじゃない!悪い時もあればいい時もある、困っている相手が

余計に困るようなことをするようなやつはいずれ必ずしっぺ返しがくるわい!

ウチは絶対撤退せんぞ!ばかやろう!

話を現在に戻す。
賛否両論はあるとは思うが、我が社は値上げに対してとても慎重であります。

殆どの荷主企業に対して値上げについては触れていない。

勿論、現状はドライバー不足は我が社も御多分に漏れずで、

管理職も乗務している日が多い、この年末年始も乗務員確保の為の

大掛かりな募集を始めた、働き方改革も影響し、人材確保、労働環境整備の為の

コストは大きい、故に値上げとなれば有り難いわけだが、人材確保、働き方改革の為の

コストは荷主企業においても同じだ。

だから運賃値上げは、荷主企業の業績をダイレクトに打撃する。

善人ぶるわけでもない、経営は慈善事業ではない、荷主に対していい顔をする気もない、

でも、まずは自社でもっとできる努力はないか、値上げ以外で荷主企業に協力頂く

ことによる労働環境改善はないか、効率をあげる方法はないか・・・

できることを模索しているうちに、このところ現場からは、我が社の社員や品質、

仕事っぷりに対する評価の声が聴こえてくる。値上げを否定はしない、

でも同時に、否、その前に未だやるべきことがあるような気がする。
ヤマト、佐川、郵政の動向は、そんなことを示唆しているような気がする。

バブル崩壊後、大手商品問屋M社の現場では、30台の殆どが
M運輸のトラックになっていた。

今日も一日良い日に致します。 
物流応援され団長・山田 押忍!