読書は心の栄養 | 物流応援団長山田泰壮の元氣が出る話

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親愛なる皆さん

おはようございます。

 

吉村昭氏の歴史小説「長英逃亡」を読み返している。

ちょうど去年の今頃読んだ本で、実に見事な情景描写、

心理描写に感動した吉村昭の世界に再び引き込まれている。

 

主人公高野長英の人生の足跡、史実をもとに徹底した調査と深い洞察力で、

人間の光と闇を見事に描いている。高野長英は江戸時代末期の傑出した蘭学者、

町医を開業しつつ西欧事情の研究と執筆をする中で、幕府批判をし蛮社の獄で

投獄され永牢(今でいう終身刑)となるも、五年後に脱獄し、6年にわたる逃亡生活

の果て捕らわれ47歳の生涯を終える。

 

ストーリーもさることながら、先にも述べたように、その描写が絶妙だ、

というようなことを昨年もコラムで書いたと思うのだが、二度目の今回もやはり素晴らしい。

そして、読書も映画も音楽もそうだが、同じものを読んだり観たり聴いたりしても、

その時々の心境やおかれた環境、精神状態などによって、観方、捉え方、感じ方、

がまるで違う。

 

今回の読書もそうで、前回以上に強く感じるのは、その当時(江戸時代)に生きる

人たちの精神性の高さだ。そこに意識が向き、惹かれ、感動する。

本業に対する思い入れや情熱、恩ある人へ報おうとする報恩の精神、

縁をとことん大事にする人間同士の強い繋がり、命がけで本業を貫き、命がけで

仲間を守ろうとするその姿に感動する。凄いと思う。

物語の中に出てくる人々の覚悟に満ちた行動は凄まじい。

重罪を犯し指名手配の長英の逃亡の手助けやましてや自宅にかくまうなどは

死罪に値する時代、江戸の理不尽な法は、その罪と罰は家族にまで及ぶ。

にも拘わらず、彼らは縁ある人、恩ある人を命がけで助ける、それも少しの迷いも

何の衒い(てらい)もなくである。

 

実際に、長英が入牢前に、蘭学の門下生であった高野隆仙は、

長英を自宅にかくまい逃亡の手助けをしたとして捉えられ、

100日にわたる過酷極める拷問をかけられるが、隆仙は一切口を割らず後に釈放

されるのだが、それが原因で身体に障害が生じ、歩行も不可能となり、短かい生涯

を閉じるという史実も残されている。

 

私は、自分のことはさて置き、現代人の薄っぺらさや精神的な弱さを

よくコラムに書いたり、口にも出している。

社内においても、研修においても、世の中を見渡しても、

人間が弱くなったなぁと嘆きたくなるシーンが、このところ実に多い。

故に、歴史小説の中に、本来あるべき理想の姿を見ようとしているのかもしれない。

若い世代に人のみならず、厳しい環境の中で強く生きてきた世代の人までもが、

現代の環境に順応してしまい、弱く、薄っぺらい。

かく云う自分自身の日常を振り返っても例外ではないことに気付かされ、恥ずかしく
なる。

 

読書は心の栄養とは、云いえて妙だ。

他人や世間を嘆く前に、まずは自分、歴史から学び登場人物から栄養をもらい

スタミナをつけよう、鍛えよう。

 

今日も一日良い日に致します。

物流応援され団長・山田 押忍!