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南部杜氏初の女性杜氏 小野裕美さん

最初の家 Women's Street No.1

伝統格式を重んじた、しかし、温かみのある小さなわらぶき屋根風の家です。

初回はインタビュー形式でご紹介できそうです。

(ルート)
「こんにちわー。はじめまして。今回記念すべき初回登場の小野さんです。よろしくお願いいたします。」


(小野)
「こんにちは。小野裕美です」
小野杜氏
お酒の状態を確認する
小野裕美杜氏

(ルート)

小野さんは岩手県にある蔵元で働いている女性杜氏です。南部杜氏ではじめて女性として合格した方です。杜氏の仕事は大変重労働だと聞いていますし、また、プライベートでは夫と二人の小さいお子さんがいらっしゃるという、聞くにつけ毎日がハードな生活そうです。そこまではいろんな情報で知っているのですが、杜氏という男性社会のような環境で働いていることについて、まずは女性として大変だろうなーと思うんですが、その辺も含めて私的なこと、日常の様子なども聞かせてください。

(小野)
私が杜氏(酒造り)の仕事ができるのは蔵元のご理解と主人の協力があるからです。今はまだ酒造りがはじまっていませんので、(9月初旬)朝の時間に少しは余裕がありますが、造りがはじまれば、出金時間が早くなると思います。造りが始まると朝は5時前には起きて準備をします。朝食の時間も余裕なく、その時は子供には車の中でおにぎりでもたべさせようと思ってます。しいて大変だと思うのは、夕方帰宅後です。夕食の準備をしていると上の子(3歳)はおもちゃを床いっぱいに広げて遊び、下の子はおっぱいを求めて泣いている・・・戦場になっています。なので、できるだけすぐに食べられるように、朝に夕食を作っています。帰ってからあたためるだけでいいようにしています。カレーやシチュー、煮物が中心になっています。(ハハハ・・・)

(ルート)
すごい・・・。それから杜氏の仕事ですよね。
廣田酒造店
小野さんが働く廣田酒造店。
岩手の手造り蔵。
廣田酒造店ホームページ


(小野)
「私自身杜氏の仕事(泊り込み等)は特殊だとは思っていないのですが、例えば看護士さんなんかは夜勤があってもちゃんと子育ても家事もこなしていますよね。だから
私もそのような先輩を見習っていきたいです。そう考えると、酒造りの仕事も女性が入って気安いのかと思います。


(ルート)
「そういわれればそうですね。何も特殊ではないですね。」

(ルート)
「では基本的に南部杜氏の資格を女性第1号としてとられましたが、その辺について教えて下さい」


(小野)
「南部杜氏の選考試験は、筆記テスト、小論文、きき酒、面接に経験点が加えられます。筆記等は勉強すれば点数は取れるのですが、経験点はどうがんばっても増えるものではないので、私の場合、経験点が少なく、それをカバーすることが大変でした。


(ルート)
「なるほど・・。あと実践でご苦労されていることはありますか」


(小野)
「女性ならではの苦労(私の場合)は寒さです。酒造りは冬場の(寒いところでの)仕事です。暖房は休憩室にあるだけで、蔵の中は外よりも寒いときがあります。(日が当たらない分)寒がりの私には大変です。寒さ対策は暖かい下着。上にいっぱい着るともこもこしてうごけなくなるので、暖かい!!と書いてあるのを買ってきては試しています。また、酒造りは力仕事なので、大変なところもありますが、男の人が1回ですることを2回に分けたりして対応しています。(米運び等)。仕事中にあまりおんなだから・・・と意識することはありませんが、講習会に言ったりしたときは、周りはおじいさんが多く、まだまだ男性社会なのかなあと思うときがあります。そんなときは、ニコッとほほえみかけておきます。仕事でも普段の生活でも、自分で100%をこなす力はなくて、頑張っても60%くらいと思っていますので、出来ないことは無理でずできる人にお願いしようと思っています。(良いのか悪いのか)

苦手な仕事を一生懸命に頑張るということはあまりしたことがなくて、常に誰かいないかな??と日と探しを一生懸命やってます。(笑)
そういえば、学生のころから編物はおばあちゃん、縫い物はお母さん、美術(工作)はお父さん・・・・でした。


(ルート)
「なかなかうなづける話ですね。」


(ルート)
「では酒造りについてのご意見を。」


(小野)
「酒造りは私にとってすごく魅力的な仕事です。微生物という目には見えない小さい生き物が焼く1ヶ月かけて米と水から日本酒をつくります。“お米からこんなにきれいな香りとふくよかな味がどうしてできるの??”と不思議になります。また、同じ米・水を使って同じように仕込んでも全く同じ味・香りにはなりません。つまり、2度と同じ酒はできないのです。その中で、米や水、微生物の特徴を考えながら自分の望む酒(に近い酒)を作っていく仕事は絶対にあきることのない仕事だと思っています。


日本酒は伝統的な文化ですが、研究・開発は進んでいます。昔ながらの伝統・技術・経験は大切にのこしながら、新しい技術を取り込んでいくこと、もっともっと先を見ていくことが必要だと思っています。ので、この世界にしては若い(ハハハ・・・)。この世界にはまだまだ珍しいオンナが今までにないようなひらめき等を発揮していける仕事だと思います。

(ルート)
「確かに酒ができる過程を知ってみると不思議ですよね。でも日本の伝統文化そのままを反映させているものですから、重要この上ないモノですね。小野杜氏のような若い造り手に日本の文化がかかっているという気がしてきました。」


(ルート)
「小野杜氏の夢についておきかせください。」


(小野)
「夢だけはたくさんあるのですが、・・・・その中でもまずまず現実的なものだと、まずは自分の納得する酒を造りたい。そして、それを買ってくれるお客様の顔が見たいので酒屋をしたい。またまた、それを呑んでくれている顔を見たいので、飲み屋さんもやってみたいです。主人の実家が魚屋をやっているので、その隣で私の選んだおいしい(好きな)酒をおいて、新鮮な魚介類をだしながら酒屋兼飲み屋さんをやってみたいです。

また、子供が成長しててがかからなくなったら、全国各地の蔵で酒造りをしたい。各地の食文化や伝統を肌で感じてみたいです。自分の作った酒を主人や成長した子供や友人とあーでもない、こーでもない、といいながら呑んで、冬になったらまた作って・・・楽しい老後になりそうです(笑)。
“自分のやりたいことをする”一度しかない人生なので、男だからとかおんなだからとか言っている場合ではない。というのが和と足の思うところです。そして、“夢は口にださなければかなわない”というのをきいたことがあり、どんな小さなくだらないことでも思いついたことは口に出すようにしています。夢を持って頑張れば夢に近づくし、それを土台にまた新しい夢を持てる。
いづれ死ぬ時に公開はしないように頑張っておこう!!と思ってます。明日はどうなるかわからない。だから今日頑張るのです。


(ルート)
「すばらしい!夢を実現しつつ、次の夢を追っていく。これが生きがいですね。

これからどんどんいいお酒を造って行ってください!応援してます!今回はどうもありがとうございました。」

荒蝦夷
小野さんが造った日本酒。
荒蝦夷(あらえびす)

力強い味の中に米の旨みが感じられる日本酒




小野裕美さん
蔵元では杜氏の顔ですが、
懇親会では母の顔。
 

 小野裕美さんへの
 問い合わせ先:

 廣田酒造店
  TEL:019−673−7706
  FAX:019−673−7570



いかがでしたでしょうか。やる気マンマンの元気な小野杜氏でした。私もなんだかやる気がでてきたっていう感じです。




ルートの編集後記

インタビューのあと、小野さんの造った日本酒をいただきました。南部杜氏のお酒は男らしいキリッとしたお酒が多いと聞いていましたがまさにその通りでした。でも、のどを通り過ぎたあと、口の中にお米の旨みがじんわりと感じられました。このじんわり感は小野杜氏かしら・・・とルートは思いました。



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