敵わない人 | 物流応援団長山田泰壮の元氣が出る話

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物流応援団長山田泰壮が経営者・リーダーにお届けする元氣が出るブログ

親愛なる皆さん
おはようございます。

先日、用事があって実家に立ち寄った。
実家では父母が二人で住んでいる。
父は、今年80歳。
昨年、癌の手術をし、現在も抗がん剤治療中・・・
というと、痩せこけて、ベットに横たわり、口数少なく、
生気を失ったような老人を想像してしまいがちだが、
うちの父の場合はまるで違う。80歳だから老人には違い
ないが、治療中とは思えないくらい元気だ。
抗がん剤の影響で髪は抜けてしまっているが、顔のツヤ
はよく、ハキハキしている、思考が衰えていないので
話も理論的でしっかりしている、政治経済世界情勢を
論じだすと止まらない。そして、何よりも意識が
はっきりしているのと同時に死に対しての恐れのような
ものは全くなく、達観している、いつお迎えがきても
人生悔いなしといった様子、息子ながら凄い親父だと思う。
この様子だとお迎えさんも未だ時期尚早と、
よそへ行ってしまうだろう(笑)
とはいえ、やはり、老いたと思うのであります。
私が22歳で結婚して実家を出るまで一緒に住んでいた
頃を思うと、当たり前のことだが、歳をとったなぁと
つくづく思うのであります。
私が子供の頃の父は、
悪さをして、先生や警察に見つかっても山田の親父に
だけは見つかるな!というくらい、私の友達からも
恐れられた人だった。でも、一方では、親戚縁者、
友達の親、時には学校の先生にまで頼りにされ、
多くの人から相談や頼まれ事をされる 
そんな存在でありました。
若かりし頃は、恐くて、うざくて、鬱陶しい存在、
できるだけ一緒には居たくない、
何故こんな人の子に生まれてきたか!とさえ思った
こともありました。それが気が付けば、自分が当時の
父と同じ年代になっている。
脳裏で、当時の父と今の自分とがシンクロする。
でも、とても敵わない、人間としての厚みというか
覚悟というか、信念みたいなもの。
それと比べると自分は実に薄っぺらい。
この歳になって、冷静に振り返ると、
若い頃には見えなかった(気づけなかった)親の姿が
見えてくる。
恐くて、うざくて、鬱陶しい人は、
厳しくも頼もしく、正義感があり、面倒見のいい人、
いつも誰かの心配をし、いつも誰かを叱咤激励している。
実は身近でもう一人、長年親しくし敬愛している先輩も
このほど癌が見つかり手術をし、今、同じく抗がん剤治療中
であることを父に話した。
すると、奥の部屋へ行って何やらゴソゴソしているかと
思うと、御見舞い用のし袋にいくらか入れて
「お元気になってください」と書いて持ってきた。
「これ先輩に届けてくれ」と、私に手渡した。
抗がん剤治療で髪の抜けた老人が、何のてらいもなく、
ごく自然に。
その父の姿を観た瞬間、どうしたことか、
不覚にも嗚咽が込み上げてきた。
父に気付かれまいと、大きな咳ばらいをしてごまかした。
気付かれたかどうかは分からない。
「有り難う、届けとくわ」と云って、実家を後にした。
なんて人だ・・・
やっぱり、この人には敵わないと改めて思った。
そして今、
この人の子でよかったと心から思えるのである。

今日も一日良い日に致します。
物流応援され団長・山田 押忍!